「誰か、私を人間に戻してください」
〝食べさせる人は敵〟
「瘦せ姫」たちの心の叫びとは
摂食障害になった女性たちとの30年余りの交流の軌跡が話題の書に!
なかでも、病院への受診を勧めた親戚への言葉は激烈なものでした。
「あのオバちゃんがいちばんうざい。でしゃばりババアが。私は病気じゃないし、ちゃんと食べてる。自分が嫌いだから、体型だけでも好きになりたいのに、なんで、ダイエットの邪魔するの?」
そうこうするうち、気持ちに変化が生じます。当初は瘦せていくことに恍惚としながらも、体力の衰えに不安も覚えていた彼女。しかし、恍惚も不安も薄れ、「自分はまだ太ってる」
「もっと瘦せなきゃ」という強迫観念ばかりが頭を支配するようになるのです。
「ダイエットを強化したら、筋肉が落ちて、ますますデブになっちゃった。運動もしなきゃ。食事は水分だけでいい。学校にも行けてるし♪ 遊びにも行けてるし♪ バイトだってできる♪ 明日からは自分に厳しくいかなきゃ。私はもっともっと瘦せたいんだもん!」
〝♪〟を連発しながら、元気をアピール。では「もっともっと瘦せたいんだもん」と言う彼女がそのとき、どんな体型だったかというと——。翌日、それが判明します。
「しばらくブログ、お休みします。体重が28キロになり、入院することになりました」
161センチで28キロといえば、いわゆる標準体重の半分程度です。たしかに、まわりの人にとっては心配な状況でしょう。
しかし、彼女の気持ちは違います。瘦せることで「誇り」や「快感」などのメリットを得ている以上、それを邪魔する者は「敵」なのです。
この少女の場合はやや極端であるものの、こうした「食べさせようとする相手」へのネガティブな感情は制限型の瘦せ姫の多くが持ち合わせているように思います。